Report/西崎 博之 Photo/尾形 和美 Illustration/伊東 宣哉
取材協力/株式会社 啓愛社 金沢リサイクル工場

取り外されたエンジンの山

取り外されたエンジンの山とニブラ|大人の社会科見学に出かけよう

取り外されたエンジンの山|大人の社会科見学に出かけよう

人の手で取り外せるものがすべて外されると、今度はニブラと呼ばれる重機で大きな部品を選り分ける。エンジンやマフラー、先ほど見えていた銅線などを、剥ぎ取っていくような作業じゃ。ここに積まれているのは、そのまま再生品としては使えないエンジンじゃな。

さっき工場長がエンジンを「白黒、白白」って言ってたのはなんですか?

エンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブロックの、素材の組み合わせを指しているようじゃ。白黒がアルミ+鋳鉄という意味で、白白がアルミ。まあ、この場合のアルミは「アルミを主体とした合金」じゃろう。

業界用語ですね。すごい!

今さら言うまでもないじゃろうが、これらもそれぞれ分別してリサイクルするわけじゃ。

触媒の集積所

触媒の集積所|大人の社会科見学に出かけよう

ここはずいぶん深い集積所ですね。中に積まれているのはマフラー?

触媒の入っているコンバーター部じゃな。触媒が排気ガスの浄化を担っていることは知っておるじゃろ?

はい、知っています。雑誌にメタルキャタライザーは抜けが良いと書いてあったので、何だろうと思って調べました。

触媒には、白金やパラジウムなどのいわゆるレアメタルが含まれておってな、その回収はとくに重要じゃ。レアメタルは、そもそも絶対量が少なく、最近は携帯電話などに使われるなど需要が高まっておる。だから触媒1個には微量しか含まれていないが、見逃すことはできん。これは他の電子部品にも言えることじゃな。

マフラーとボディのスクラップ

マフラーとボディのスクラップ|大人の社会科見学に出かけよう

とうとう最終段階まで来たようじゃ。

マフラーが、まるでサイコロのように。もの悲しい光景です・・・。

有価物として選別されたこれらはハードプレス機によって押し固められたあと、電炉メーカーに供給されるそうじゃ。そう、生まれ変わるのだ、なにも悲しむことはないぞ。

ボディも、こんなに小さな長方形になるなんて。このタクシー、何万kmを走ってここに来たのだろう・・・。博士は平気でも、僕にはショッキングです。

泣いておるのか、学君。キミは優しいのじゃな。そして、車が好きなんじゃな。しかし、どんなに愛した車でもいつかはこうなるのじゃ。新しく買った車の鋼板に、むかし乗っていた愛車の魂が宿っているかもしれない。そう考えるとラクになるじゃろ。

博士・・・。僕は今日、ここに来てよかったです。

そうか、そうか。わしも連れてきた甲斐があったわい。